株式会社アスカ・リサイクル文化社

株式会社銀蔵 香坂伸治社長 その2

株式会社銀蔵 香坂伸治社長 その2

その1からつづく。

安藤:まったく違う分野ですし、ちょっとマイナーな感じがされたんではないですか?

香坂社長:まぁ、正規店とは違いますからね(笑)。

安藤:ある意味「負」のイメージがありますよね。

香坂社長:でもまぁ、「負」のイメージをプラスに変えて、今までまったく来なかった女性の層を呼ぶことが出来れば、これはビジネスチャンスになるんじゃないかと思いました。
ですから経営方針も、もっとカジュアルに来ていただけるようにしようと考えています。「ブランドカジュアル『銀蔵』」という風に。

安藤:ブランドカジュアル「銀蔵」ですか 。

香坂社長:そう、敷居を下げることかなと、やっぱり、質屋さんというと行きにくい、暗いイメージがあるだろうし…
それで、新宿西口店のオープンの話になるんですが、今までと全く違ったイメージで、女性でも気軽に入れるようなお店にしたいと思いました。西口はOL さんやサラリーマンが多く行き交うところですしね。
新店舗では3 階部分にレンタルショールームやパウダールームを設け、ドレスやブランド品をトータルにレンタルコーディネイトできるようにしました。その場で商品に触れて試着し、好みの商品を選べますので、若い女性も来店しやすいのではないでしょうか。

安藤:それはやはり、この業界のイメージを変えないといけないという思いを形にされたのですか?

香坂社長:そうですね。中古品というと、普通に使っている人にとっては何の抵抗もないでしょうけど、使わない人にとっては、やはり、二の足を踏んでいるところがありますから。

安藤:例えば、クリスピー・クリーム・ドーナツとか、マクドナルドは一つのブランドですし、商品を差別化しやすいと思うんですが、ブランドのリサイクルというと商品が同じですし、差別化が難しいですよね 。

香坂社長:そうですね、いかに付加価値をつけるかということですね。西口店で言うと、2 階はラウンジ風に完全個室にしてプライバシーを守り、お飲み物をだしたり、タバコも分煙にしたりと、細かいことですが、お客様一人ひとりを大事にする気持ちで、お客様がこのお店に行く姿が「格好悪くない」ようにしていこうと思っています。

安藤:業界のイメージって言うのはどう思われますか?

香坂社長:業界が、1つの業界としてまだまだ認知されていなというか、仕組みが遅れているところがあるのかもしれないですね。ですからそのへんは、組織作りとか新しいシステムを確立していくとか、そういうことをまだまだ、やっていかなきゃいけないんじゃないかなと思いますね。

安藤:リサイクル業界の人材教育も必要だと思いますか?

香坂社長:どこの小売店でも同じだと思うんですが、たとえばお店作りとか、お客様に「また来たい」と思ってもらえる身だしなみだとか、サービスの質であるとか、そういう基本
的なところは、シッカリやっていかなきゃいけないと思いますね。 中古品を売っているという気持ちじゃなくて、一流のものを売っているんだという自負がスタッフにないと、同じ商品を売っているところで差別化できないし、価値が生まれないですよね。お客様の求めているものがなんなのか、ニーズはどこにあるのか、そしてそれを実践することを浸透させていきたいと思っています。

安藤:それを実行するためには社員教育が不可欠ですね。

香坂社長:そうですね。やっぱり社員教育は必要だと思います。お客様の満足度、社員の満足度を数値化し、今、どういう風な状況に、うちの会社があるのかということを正しく
分析して、そこを変えていく、数値を良くしていくということをしないと、漠然とした経営になってしまう恐れがあります。ですから、去年、お客様に対するアンケートをとりました。

安藤:どういったアンケートですか?

香坂社長:サービスの質であるとか、価格に対する意見だとか、満足度というものを数値化したものを書いてもらいました。それで、比較的、従業員の接客態度というものは非常
にいいスコアを頂いていたので、これは、1つの「銀蔵の価値・資産」であるなと思いました。だからもっとそこを強くしていきたい。

安藤:確かに、先日、弊社が主催したイベントに「銀蔵」さんに出店していただいて、やはり「銀蔵」さんはシッカリしてらっしゃるなと思いました。

香坂社長:そうですか(笑)それは嬉しい。

安藤:先日の神戸でのイベント前ですが、心斎橋店からお電話いただきまして、「イベントに行きたいとおっしゃるお客様がいらっしゃいますので代わります」と、お客様と弊社と
の間に立ってくださって、直接お客様と話す機会をくださったんですが、そこまで両者に気を配っていただいて、大変恐縮いたしました。

香坂社長:ありがとうございます。

安藤:香坂社長からみて、この業界の人材のレベルってどう思われますか?

香坂社長:いい人材は、多分いっぱいいると思うんですよ。ただ、教育の仕組みが確立していないんじゃないでしょうか。それを作っていかないといけないと思っています。弊社
でいうなら「銀蔵大学をつくるぞー」ぐらいの気持ちで(笑)
例えば、バイヤーって経験値ですよね。バイヤーになりたいなら「見とけ、勉強しとけ」っていうのも確かだと思うんですけども、感覚値っていうものがありますよね。それをいかに会社の資産として、文章にして残していけるかということが必要だと思っているんです。それで、銀蔵で育った人間なら外でどこでも通用するんだと言われるぐらいにしたい。さらに、ゆくゆくは、他のお店からも銀蔵で勉強したいといってもらえるぐらいになれたら、1つの社会貢献になりますよね。

安藤:それは、銀蔵さんのスタッフだけではなくて、他社からも受け入れるということですか?

香坂社長:えぇ、そうなればいいですね。企業姿勢というかCSR って大事でしょ。企業の価値をはかる1つの大きなメジャーになりますよね。

安藤:正規店とリサイクル店のそれぞれの利点って何だと思われますか?

香坂社長:正規店は、洗練されていてエレガントな感じがしますよね。でも裏を返せば、とっつきにくいと感じる人もいるかもしれません。失礼のないところで親しみやすい接客を心がけることが、正規店とは違う利点になると思います。それと、一つのお店でいろいろなブランドが買えるということがリサイクル店の利点ですね。

安藤:社長は、ブランド品はお好きだったんですか?

香坂社長:いや、全く(笑) 家内は、少しは持っていましたけどね。 で、まずは持ってみなきゃいけないなと思って、財布と、今年に入ってから時計をリサイクル品で買いました。これがまた衝撃で、自分で買ってみると「中古品ってこんなにいい物なのか…」と驚きましたね。新品同様だし、格安だし。

安藤:いい時計ですね。

香坂社長:うちは時計工房(修理工房)というものを持っていて、全て新品同様にして売っています。それもイメージアップというか、ブランド価値向上のためにもっとうまく打ち出せていけたらいいなと思っています。

安藤:具体的にいうと。

香坂社長:時計を買い取る場合、自社内でメンテナンスが出来るということは、買取後のオーバーホール費用が抑えられるということです。だからこそ、高価買取ができ、それな
りの価格で販売も出来るんです。根拠がありますからね。そういうことをオープンにすることで、よりお客様に信用していただけると思っています。

安藤:消費者の中で中古品に抵抗を持っておられる方っていうのは、何に対してだと思いますか?

香坂社長:知らないだけだと思います。単純に良さを知らない。どんなものを売っているのか。偽者があるんじゃないのか…というようなね。それはやはり、いかにして信頼性、信用性を持ってもらうかということに繋がりますよね。だからこそ、根拠のあるものを見せる必要があると考えています。

安藤:それはやはり、御社の強みですね

香坂社長:そう思っています。

安藤:業界全体として、この業界の行く末はどう思いますか?

香坂社長:まだまだ伸び代があると思います。ブランド品の埋蔵というか、眠っているのは20兆円とも言われてますよね。それが世の中に還流していって、リサイクルできれば、
もっともっと業界は活性化していけると思います。

安藤:御社の今後の目標としてはどのようなことを考えていますか?

香坂社長:社員育成の面では、1つの資格制度などを作って、個々のやる気を引きだしていければと考えています。新入社員でもバイヤーになりたいと思って受ける子が増えていますしね。専門性の高い仕事ですし、目を高めていけるように…レベルアップを目指せる環境作りをして、個々の力ではなく、会社の力としていける組織作りをしていきたいですね。経営的な面では、今後しばらくはネット社会だと思いますので、ネット事業をシッカリとやっていき、さらに、既存店のリメイクなど、まずは足元を固めていくことをやって行きたいと思っています。

安藤:経営される上で一番大切にされていることはなんですか?

香坂社長:お客様を大事にするということ、従業員を大事にするということ、業者とのお付き合いを大事にするということ。感謝の心を持ちつつ当たり前のことをしっかりやると
いうことですね。

安藤:業界では、今は非常に苦しい時期だという声をよく聞きますが・・・

香坂社長:楽じゃないですよ、絶対的流通量が減っていますから楽ではないですが、楽じゃないときに知恵を絞って考えることが、より大きなチャンスに繋がると思っています。

安藤:もし、次に出店するとしたら、どこにお考えですか?

香坂社長:それは秘密です(笑)

安藤:たとえば、アメリカに進出とか。

香坂社長:いやぁ、アメリカにはまだ、リサイクルの文化がありませんから、海外なら、アジアでしょうね。中国のお客様も増えていますので、お店を出すとかではないですが、
中国向けに考えていくことも必要ですね。

安藤:なんか、すごい楽しいですね。社長のような方に、この業界に来ていただいて、新しい風を吹き込んで頂いて、業界全体も盛り上がっていきますね。

香坂社長:実行あるのみですね。

安藤:今日は貴重なお時間を頂きありがとうございました。

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