株式会社アスカ・リサイクル文化社

東京山喜たんす屋 インタビュー (3)

東京山喜たんす屋 インタビュー (3)

辻先生(以下、敬称略):
最近、着物を着ている人をよく見る気がしますね。

中村社長(以下、敬称略):
僕は確実に増えていると思います。
自分なんかは自分が着物を着ているから特に気がつくと思うのですが、非常に増えていると。
それも結婚式行った帰りだなという着物姿ではなくて、逆にそういうのは減っていますね。
婚礼のカジュアル化か進んでいますから。私は着物をフォーマルな場ではなく、
カジュアルシーンに取り入れていくのが非常に大事だと思っています。

辻:
フォーマルが減っているというと、黒色の着物の売上も減ってきているということですか。

中村:
今、一番売れなくなってきているのは黒色ですね。
黒の喪服、黒の留袖、黒の羽織、どれも売れなくなってきています。
お葬式でも着物着る人は減ってきていますよね。
でも私はカジュアルシーンにもっと気軽に着物を着ようぜとね。
そういうことが定着してくれたら面白いし、そのトレンドは充分にあるし、
今の若い人の中には受け入れる要素があるなと思いますね。

辻:
若い人、学生などは洋服では黒の色を好みますからね。

中村:
一番おしゃれです。

辻:
甚平も黒っぽい、落着いた色が好まれていますね。
今年の夏、大阪の茨木市の商店街と協力して商店街で学生37人が浴衣や甚平を着て
打ち水をするというイベントをやりました。
その時は自前で用意をしてもらったのですが、
何人かはたんす屋さんでお世話になったと言っていました。
その時にかわいい小物も売っていたので買ってきましたと見せてくれました。
着物となると当然、帯とか小物などといった付属品もありますよね。
その点で従来とは違ったアプローチとかはあるのでしょうか。

中村:
当然、着物というのは一つのコーディネイトであって、
特に今の若い方に対してはスタイリングの提案ですね。
若い人に向けてはいかに上手に従来の用途をミクスチャーしたスタイリングを提案していくか。
冬になったらハイネックのセーター着て、その上に着物を着ると。
足元はブーツを履くとかですね。夏場は極力失礼の無い限り素足ですね。
皆さんが素足になったらCO2の削減は進むだろうと思っています。

辻:
クールビズでネクタイを外すのではなく、素足になるのですね。

中村:
ネクタイを一つ取るよりは、ほとんどの男性がナイロンの靴下を履いた上に革靴を履いて一日を過ごすわけですから、少しぐらいクーラーの温度を下げても暑くてしかたがないわけですね。
でも、素足だったらはっきりいってクーラーいらないですよ。
洗面器に水を入れておいて時々足を付けたら一発で涼しくなりますよ。

辻:
確かにそうですね。

中村:
6~9月の4ヶ月間の国会は素足に行くようにと決めたら、
国会よりも日本の全部の職場はカジュアルだと思いますから、皆素足でも失礼にならないでしょう。
ただ、スーツに素足は変ですから、上も和でいいじゃないかと。
これだと無理はないでしょう。

辻:
そのスタイルだと全然無理はありませんね。

中村:
本人はそう思っていますが。

辻:
格好がいいですよ。

中村:
前はスーツを着ていました。スーツ着ていた時代は呉服の問屋もしていましたし、
アパレルも扱っていましたから。周りの目を気にしてスーツを着ていました。
でもアパレルも問屋の事業もスクラップにして、たんす屋一本にした時に着物を着る事に誰に
遠慮することもないと思いました。
それに着物を需要を高めることが使命なので、とことん自分の店で着物を買うようにしています。
消費者から見てどんな店になっているかがいつも気になるのと、
エンドユーザーは着物を着て何を感じているのだろうということが、
自分が着ないとわからないわけですから。
そういう意味では自ら着物の消費者になることが近道だと。

辻:
2つの事業をスクラップにする決心はかなりのものだったのではないですか。

中村:
呉服のマーケットが縮小していき、呉服問屋のマーケットはさらに縮小していく。
さらに問屋はいらないという時代になってきて、呉服問屋にしがみついて新しい価値を生み出すことができないと思いましたから。
それじゃ、自ら新しい市場を創って従来のお客様と共生できるような新市場を作っていこうとね。
問屋をやっていくのは厳しいし、小売に変換して従来のお客様とエンドユーザーの獲得競争していたら社会的に抹殺されていたと思います。
そうじゃなくて、リサイクルというアイデアと海外で着物を作ってきたというノウハウをひっさげて着物新市場を創るということが認められたと思います。
着物を着たいと思っている方々の潜在した需要を掘り起こし顕在化させ、そのことによって従来のお客様とも従来の着物マーケットを覚醒して共生していくことができると思いました。
それに共感していただけて、問屋時代の一番の大手のお得意様きもののやまとは、
たんす屋の加盟店として13店舗経営していただいています。
結果とすれば問屋時代には500件のお得意様がありましたが、それをゼロにし、
かわりに着物新市場を作ったことになります。
7年前たんす屋で買い物をした人は0人。でも今は年間で50万人です。

辻:
7年前にリサイクルで行こうと、今までの古着屋さんとは違う何かをしようという明確な路線みたいなのはあったのですか。

中村:
ブックオフさんの存在がやはり大きかったですね。
ブックオフさんは従来の古本屋の概念を変えましたよね。
従来の呉服の古着屋も3K事業(暗い、臭い、汚い)と呼ばれていました。
でもたんす屋は暗くないですし、臭くもない。
隣の部屋に1万7000~8000の着物や帯が置いてありますが、
普通これだけの数の古着があれば、強烈なにおいがしますが全くしません。
強烈なにおいがするのが今までの古着だったわけですから、
その古着屋から完全離脱して新品のものと並べても遜色ないような着物屋というのが
圧倒的な違いです。
それのヒントはやはり東京神田の古本屋とブックオフさんとの差ですね。


(4)に続く・・・

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