東京山喜たんす屋 インタビュー (2)
東京山喜たんす屋 インタビュー (2)
辻先生(以下、敬称略):
今、学生達は夏になると浴衣を着て花火大会によく行っています。
その姿を見てみると、着こなしが非常に自由ですね。
例えば、甚平にバッシュを履いたり、浴衣にミュールを履いたりなど。
中村社長(以下、敬称略):
そういうこともいいと思います。
私もそうでが、カジュアルであれば大いに自由奔放でいいじゃないかと思っています。
今日はこのようなズボンをはいていますが(写真参照)、いつもは袴です。
その袴もすごく短くはきます。何故なら、その方が楽だから。
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辻:
すごく素敵だと思います。
中村:
ありがとうございます。しかし、フォーマルでは少し失礼かなと。
辻:
呉服屋さんというと敷居が高いイメージがあったのですが、
たんす屋さんの店舗はすごくそういう意味では失礼かもしれないですが、
敷居が低く若者でも入りやすい。
それは販売される方がどのようなことに気を付けて入るからなのでしょうか。
中村:
お店は物販ではなくサービス業であると位置づけています。
たんす屋のお店では3つの誓いというお客様に対するメッセージを貼っています。
その中の2つ目で、たんす屋は着物の初心者ビギナーにどのようにすればもっと着物を見ていただくことができるのか、潜在している着物の需要を顕在化することをたんす屋の使命としています。
常に潜在している着物需要を掘り起こすことを大事に思っています。
ですから、着物のビギナー、初めての人を大事にすることがとても大切な事であると繰り返し教育をしています。
辻:
そのことがたんす屋さんの魅力になるわけですね。
中村:
本来なら着物を着たいのに、値段が高いという既成概念がある。
それが原因で着物道に足を踏み入れない人が沢山いる。
でも、たんす屋ならこのような値段で購入できるなら着物を着たいと思っていただける。
そこにたんす屋の存在価値があると思っています。
辻:
従来の呉服屋さんでは見るだけというのは非常に抵抗もありますし。
中村:
入ったら最後、買わないと出られない(笑)
たんす屋は入り易いけど出易い。決して無理なお勧めはしません。
誠心誠意尽くしますが、平均するとたんす屋の入店からの買い上げ率は20%です。
100人入ってくださったら、80人手ぶらで店を出て行きます。
辻:
それには色々な理由がありますよね。
見に来ただけなのか、欲しいモノがあったけどサイズがなかったなど。
中村:
そうですね。でも買わなかったからといってお店の人にイヤミ一つ言われるわけではないですから。
気軽にお入りいただいて、好きなように着物をひっくり返していただいて、
何か御用があればお手伝いしますというスタンスですね。
辻:
そのことがお客様に支持されている要因ですね。
中村:
そのようなスタンスが気に入られて年間50万人の方に購入していただいています。
レジ打ち回数ですから、延べ50万人ですね。
その50万人の方の裏には買わない200万人くらいのお客様に入店していただいている。
このような呉服屋は歴史上ないわけですから、そういう意味では非常に価値があることかなと思ってますね。
辻:
敷居も低く値段も安く、さらに綺麗であるというのは新しい提案ですね。
特に若い人にはかなり良いと思います。お客様は若い人ばかりではないと思いますが、
一回も袖を通したことのない方となると若い方が多くなると思いますが、
特に若い人にはこういうことをしているということはあるのでしょうか。
中村:
京都にいちまんべんという店舗があり、これはたんす屋と京都大学の学生達の業務提携店舗になります。3年前からですね。立ち上げ時の学生は今は卒業して就職で東京に来ているのですが、彼らが紹介してくれた中央大学の学生達との店舗が原宿にあります。これも中央大学の学生が昨年の10月に立ち上げた店舗になります。
辻:
学生が店舗を運営しているのですか。
中村:
例えば50過ぎた男が20歳そこそこの次の需要が読めるかというと、結論を言えば読めないです。
わからないです。
じゃあ、どうすればよいのかというと、その世代の人達に一番こんなものが欲しいと思うものを作ってもらえばいいわけです。従来の呉服屋では考えられないことです。
辻:
若い目線で今の着物を見るということですね。
中村:
はい。それに新しいアイデアもでてきます。7月は浴衣が売れるが、翌月はどうする。
秋になったら売れなくなってしまう。そうなると季節ごとにイベントを作ろうということになります。
辻:
例えばどのようなイベントですか。
中村:
学生ならば必ず通るのが卒業式であると。そこで皆、袴をはくのであれば袴の提案をしていこうと。
皆で企画して、ああして欲しいとか、こうして欲しいとかを繰り返しながら自分達が本当に欲しい商品を作っていきます。
卒業式は通過儀礼ですが、後はまさに花火に浴衣が定着したように次のブームを探しています。
辻:
既に何かアイデアをお持ちのようですね。
中村:
日本では最近ポピュラーになってきた、ハロウィンですね。ハロウィンは着物。
ハロウィン=仮装というイメージがありますからアメリカでは結構ありました。
ハロウィンの仮装に着物を着るということが。
辻:
面白いですね。クリスマスに着物というのはいかがですか。
中村:
クリスマスパーティーには着物だとおしゃれだというのを企画しています。
さらに僕が一番目玉にしたいのが花火に浴衣に対抗して花見に着物なんです。
花火大会に行った人と花見に行った人というのはどちらが勝ると劣らないくらいの
人数が行っていると思います。でも、花火大会は一瞬ですよね。
今日はやってるけど明日はやっていないみたいに。
その時間が過ぎてしまえば前も後ろもないわけですよね。
辻:
それに対して花見はある一定期間できますね。
中村:
そうなんです。千鳥ヶ淵の花見なら例年10日前後持ちますから。
辻:
でも、浴衣と違って着物だと値段が高いのが少し気になるのですが。
中村:
そこでたんす屋の出番です。たんす屋でしたら浴衣を購入するのと値段は変わらないわけですから、
隣のおじさんにビールこぼされても、それほど神経質にならずにすみます。
そうやって学生の目線で学生らしく季節に応じた着物のイベントをやろうということで、
去年は原宿着物ウォークというイベントで250人が着物で集まりました。
着物は全部貸してあげました。
それを来年は花見の季節に着物ウォークをやろうということになっています。
辻:
250人もの学生が集合したのですか。
中村:
はい。その時は早稲田大学の学生が中心になっていましたね。
桜というのは日本の心の代表ですから、日本の心は着物ですから、
花見を着物を、来春は1000人ぐらいでやってみようと。
そうな風にして、彼ら彼女らの目線で着物を着た生活を始めてくれたら非常に嬉しいと思います。
私も着物を着ていますが、着物を着るということは、ずばり日本人を意識するということなんです。
日本的価値観を身に付けることは日本社会に良い影響を及ぼすと思います。
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(3)に続く・・・
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