東京山喜たんす屋 インタビュー (1)
東京山喜たんす屋 インタビュー (1)
リサイクルの王国
東京山喜たんす屋代表 中村健一 × 追手門学院大学 辻幸恵 (1)
辻先生(以下、敬称略):
大学をご卒業されて、すぐに呉服業界に入られたのですか。
中村社長(以下、敬称略):
大学卒業後すぐに呉服屋を継ぎました。普通の呉服屋問屋の三代目として邁進していました。
辻:
リサイクル業界に進出を始めたのはいつからですか?
中村:
1999年の9月1日からです。今年の9月1日が来て満7年です。現在、105店舗の運営をしています。
辻:
99年の9月にリサイクル業界への進出を始めようというきっかけは何だったのでしょうか。
中村:
呉服屋問屋として順調であればリサイクル業界へは進出していなかったかもしれません。しかし、バブルが崩壊し呉服のマーケットは縮小していきバブル前の4分の1になった。これは小売のマーケットのことで卸しのマーケットは倍の8分の1にまで縮小するという急激な縮小が起きました。
辻:
問屋というそのもの自体の存在が厳しくなったわけですか。
中村:
そうですね。供給が非常にタイトで需要が旺盛な時は問屋の機能が社会的に役に立ちますが、逆に慢性的に供給過剰で需要が多様化する時は、SPA型の方が有利で問屋業はいらなくなってきます。これは呉服問屋だけの話ではなく、アパレル全体で起きる問題ですね。元気のあるユニクロさんやファイブフォックスさん等は全部SPA型ですから。
辻:
では、3代目として継いだ時点ですでに状況は厳しかったのではないのですか。
中村:
厳しかったですが、社長に就任して4年間は呉服問屋としては成長をしました。急成長と言っていいかもしれません。年商21億だったのを4年後に37億4000万円までにしました。
辻:
その成功要因は何ですか。
中村:
生産拠点を海外に持っていったことです。中国に生産拠点を持っていきました。つまり中国で着物を作り、良いモノを安く作ろうと努力しました。着物のマーケットが縮まる中で4年間で16億数千万伸ばした事になります。
辻:
その後はいかがだったのですか。
中村:
そのまま成長すると思ったのですが、平たく言えばダメになりました。翌年から流通の川中で同時多発信用不安が発生し弊社も売上が急落していきました。お客様が着物をいらないと言ったら、着物をやめることもやむなしという考えもありました。海外で生産をしていくと、本来のお客様である最終消費者からかけ離れていきメーカーや問屋がお客様になっていき、本来のお客様である最終消費者の声から離れていきました。状況が急変した時にはお客様に聞けということなんですが、そのお客様が大手の問屋さんやメーカーでは、そこに聞いても本当の答えは返ってきません。
辻:
本当の答えは最終消費者の方が持っていると。
中村:
はい。本当の答えを持っているのは誰なのかとなると、これは最終消費者しかありません。原点に戻ってお客様は着物を欲しがっているのか。そもそも着物が好きなのかと。
辻:
女性は着物が好きだと思いますが。
中村:
そうなんです。非常に明確なことは女性に聞くと90%、9割の方が着物が好きで、着たいとお答えになります。では、着たい着物をこの一年間でご購入されましたか、着ましたかと聞くとことごとく購入していない、着ていないと言う事が浮き彫りになったわけです。平たく言えば、9割の方が好きで着たいけれども、9割以上の方が購入していないし、着ていない。
辻:
矛盾していますね。
中村:
そこで、何故好きで着たい着物を購入されないのですか、お召しにならないのですかと質問すると、ほとんどの答えが「でも、お着物は高いでしょ」となります。これは要するに買いに行ったけれども高かったから購入しなかったわけではなく、「お着物って高いでしょ」という既成概念ですね。もう一つの答えは、一人では着ることが出来ないという、この2つに集約されていくわけです。
辻:
この2つの問題に気づかれた時にどう思われましたか。
中村:
自分は着物の価格を下げるために生産拠点を海外にまで持っていきました。しかし、お客様から離れてしまったことにより、良いモノを安く作っても最終消費者のお客様に伝わらないというジレンマを感じました。そこで、それならば自ら着物の新市場を創ればよいのではと思いました。従来のお客様ではなく、着物が好きで着物が着たいという人が沢山いらっしゃるわけだから、その方々の潜在した需要を顕在化できる仕組みを作ろうと考えました。従来の呉服屋では顕在化できないとも思いました。
辻:
何故、従来の呉服屋ではだめだったのでしょうか。
中村:
多くの呉服屋がフォーマル着物を中心に動いていました。その中で、着物ビギナーである初心者がいきなり着物を買おうと思って呉服屋に行っても買うものはないという現状でした。
辻:
それがたんす屋スタートの原点ですか。
中村:
ブックオフさんがヒントになって、着物版ブックオフということで始めたのがたんす屋のスタートです。
リサイクルを使って安さを実現する。従来から古着はあったのですが、従来の古着は暗い、臭い、汚いといわれた3Kでした。そこで新市場を創っていこうと目指したわけです。
(2)に続く・・
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